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Rapamycin(Sirolimus) 1mg x 100tabs



$200

Rapamycin(Sirolimus) 1mg x 100tabs
ラパマイシンが見せた「不老長寿」への可能性。

一本の試験管に詰められた「土」。

50年ほど前にすくい上げられた「一塊の土くれ」が、人類を救うかもしれない「肥沃な土壌」になるなど、いったい誰が予想しただろうか?

その土が採取された場所が、人頭を模した巨石文化で名を知られるイースター島であったことには、何か意味があったのであろうか。

少なくとも、この孤立した島は、人類の近代化の悪影響からはしばらく逃れられていた島であった。ゆえに、そうした孤島に「奇妙な細菌」がいたとて、それほどの不思議はなかったのかもしれない。

その細菌は、「驚くべき特性の化学物質」を作り出していた。

それは「ラパマイシン(Rapamycin)」という化学物質(この抗真菌物質の名は、イースター島の現地語名である「ラパ・ヌイ」にちなんで名付けられたものである)。

この物質の具体的な効果は、「さまざまな動植物の寿命を延ばす」というものであり、加齢学にとっては「音速の壁の突破に匹敵する待望の成果」であった。

◎最長寿命の延び

「哺乳動物の最長寿命をハッキリ延ばした薬は、これが初めてだった」

「最長寿命」というのは、ある集団の中で最も長生きした上位10%の平均値であり、その延びは「老化が抑えらた証拠」と考えられている。

マウスでの実験(2009)によれば、ラパマイシンの薬が投与されたグループは、雄で9%、雌で14%、平均で12%の最長寿命の延びが見られたのであった(人間ならば100歳以上)。

加齢学者たちは、かねてより「老化を抑える化合物」の発見を夢見てきた。

それは単に寿命の延長だけが目的ではない。老化を抑えることにより、それに伴う多くの疾患(白内障や糖尿病、ガンなど)の発症や進行を総じて遅らせる道を拓くことができるかもしれないのだ。

「ラパマイシンは、現時点で最も有力な候補である」

◎ジキルとハイド

カロリーを制限すること(すなわち必要な栄養は確保しつつも「飢餓に近い状態」まで食事を減らすこと)は、マウスの実験などから、寿命を延ばすとともに、それにともなう疾患の発症を遅らせることがよく知られていた。

なぜ、食を減らすと長生きできるのか?

それは「あるタンパク質」が悪魔の顔を隠すからだと言われている。

そのタンパク質の名は、TOR(Target of Rapamycin)ラパマイシン標的タンパク質)。

この名前に「ラパマイシン」というイースター島由来の物質の名が入っているのは偶然ではない。なにせ、このタンパク質の仕事はラパマイシンの仕事を邪魔することだからだ(標的にする)。

TOR(ラパマイシン標的タンパク質)には、天使と悪魔の二面性がある。

「天使」というのは、人の成長を促進することである。「TORは若い時には、成長と発達に極めて重要」。

「悪魔」というのは、人の老化までをも促進してしまうことだ。「老後にまで活性が続くと、細胞の機能を阻害することがあり、組織が破壊される」。

なるほど、このタンパク質(TOR)はまるで、ジキルとハイド のようである。

◎成長と老化

「成長」と「老化」、じつはこの2つはともに同じ現象を表す言葉である。

ただ、両者はその働く時期が異なる。繁殖期までが「成長」と言われ、それを過ぎると「老化」と言われるのだ。

つまり、「老化を遅らせる」ということは、繁殖期後の「成長を阻害する」ということでもある。
TOR(ラパマイシン標的タンパク質)は、基本的に「成長を促進する」。すなわち、それは同時に「老化を進める」ということとも同義である。

それに対して、延命の期待のもたれる「ラパマイシン」という物質は、逆に「成長を阻害する」、すなわちそれが「老化を抑える」ことにつながるのである。

アッチを叩けば、コッチが出てくる。コッチを叩けば、アッチが出てくる。そんなデコボコな関係が、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)とラパマイシンのシンプルな関係性なのである。

◎TORとラパマイシン

じゃあ、若い時にはTOR(ラパマイシン標的タンパク質)にガシガシ働いてもらえばいい。そして、繁殖期を過ぎてからは、代わりにラパマイシンが成長を抑えてくれればいい。

ところが事はそう簡単ではない。年を取ってもなお、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)の活性はたいがい上がったままである。ゆえに老化も加速してしまう。

なぜそうなるのかと言えば、それは「食物が豊富にある」ためである。

TOR(ラパマイシン標的タンパク質)という愚直者は、食物があればあっただけ、それを成長の力に転化しようするのである。たとえ、個体が年を取っていたとしても…。

一方、ラパマイシンという落ち着いた賢者は、ずっと控えめである。食が欠乏した時にはじめて、その働きの場を得る。そしてようやく、猪突猛進するTOR(ラパマイシン標的タンパク質)の頭を抑えにかかるのだ。

カロリー制限によって、一時的にでも飢餓状態を体内に生み出せば、自然とラパマイシンが顔を出してくる。

暴君が暴君でいられるのは、力を与える何かが存在するからであり、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)が暴走するのには、それ相応の理由(過剰な食物)があるからである 。

◎自食作用

TOR(ラパマイシン標的タンパク質)があまりに働いてしまうと、何が悪いのか?

成長という成果は評価に値するのだが、TORは後片付けには興味がない。成長の過程で生じる「損傷したミトコンドリア」や「不全化した細胞」などは放ったらかしだ。

その闇雲な成長は、一部のタンパク質を過剰に作りすぎてしてしまったりもする。一部だけの異常な成長は、周囲に悪影響をおよぼす。また、作られすぎたタンパク質は凝集して厄介者と化すことになる。

たとえば、動脈硬化の原因となる平滑筋細胞や、骨を破壊する破骨細胞、腫瘍など、好ましくない増殖をも引き起こすのである。

その混沌とした様は、まるで歪んだ現代社会を見るようではあるまいか。弱者を顧みない闇雲な経済成長、それに伴う一部の富裕化、そして広がる闇の世界…。

一方、食が欠乏すると、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)は途端に鳴りを潜める。清貧の士・ラパマイシンの言うことを聴き始めるのである。

ラパマイシンによって成長を抑えられた体内では、食い散らかされた細胞の後処理が始まる。

「自食作用」と呼ばれるのがその清浄作業であり、損傷したミトコンドリアは修復され、正常に機能しなくなった細胞は分解され、リサイクルへと回される。腫瘍でさえ何かの部品として使えるかもしれない。こうして、体内のゴミは新たな資源として活用されていくのである。

◎飢餓状態

「一般に、細胞が『生存の危機』を感じ取ると、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)の活性は下がる。その結果、タンパク質の生産と細胞の増殖が抑えられ、細胞は節約した分の資源をDNA修復などの『防御』に振り向けられるようになる(日経サイエンス誌)」

若い時には「攻撃は最大の防御」なのかもしれない。しかし、繁殖期を過ぎてからまで「攻撃一辺倒」では、自身の城壁はボロボロのままに放置されてしまうのだ。

「繁殖期を過ぎて生存する見込みが下がるにつれて、生物は『人の住まなくなった家』のように劣化していく(同誌)」
自分の家(つまり身体)、それを守るのがラパマイシンの仕事。

しかし、この控え目な御仁は、細胞が「生存の危機」を感じなければ、自分からは出しゃばってこないのだ。

この士に三顧の礼を尽くすのが、カロリー制限(飢餓)ということになる。
飢餓状態がTOR(ラパマイシン標的タンパク質)の活性を抑えることは、1990年代半ばに見出されたことであるが、飢餓が長寿につながること自体は、もっと早くから知られていた。

1935年、若いラットに与えるエサを減らすと非常に長生きすることを示したのは、栄養学者のマッケイ(コーネル大学)である。以後、こうしたカロリー制限が酵母からクモ、イヌやサルなど幅広い生物種で最長寿命を延ばすことが示されてきた。

「長期的にカロリー制限した高齢のアカゲザルは、並外れて健康で、実年齢よりも若く見える」
◎歴史的な研究結果
TOR(ラパマイシン標的タンパク質)の機能が明らかになり始めたのは2000年代初め。
2003年、ハンガリー人の研究者ヴェライは線虫の平均寿命を2倍に延ばしてみせた。それは、TORを遺伝子操作で阻害した結果だった。
たまたまTORが阻害される遺伝子変異を起こしていたマウスの寿命は、30ヶ月から5年にまで延びた。
TOR(ラパマイシン標的タンパク質)とラパマイシン、そしてカロリー制限の関連の解明は、寿命延長の野望に火をつけた。
そんな中、2009年に発表された研究結果は歴史的だった。

「ラパマイシンを与えたマウスは、与えなかったマウスに比べ、平均余命が老齢の雄で28%、雌で38%も延びたのだ!」
ストロング(バーショップ研究室)、ハリソン(ジャクソン研究所)、ミラー(ミシガン大学)によるこの研究で面白いのは、実験対象が「老齢のマウス」だったことである。

薬をマウスのエサに調合するのに手間取ってしまったため、最初のラパマイシンが投与されたのは、そのマウスがすでに20ヶ月(人間でいえば60歳)になっていた。そのため、「誰一人として、うまくいくとは予想していなかった…」。
ところがドッコイ、それでもマウスの寿命は延びたのだ。
つまり、たとえ高齢でも「諦めるにはまだ早い」ということだ。

「これはラパマイシンが主として、一生の後半に効果を発揮することをうかがわせる」

◎健康な老い
現在、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)を阻害すると、さまざまな生物で寿命が延びるという事実は明らかになってきた。

「この事実は、老化を取り巻く霧の中で『光る灯台』のように目立っている」

当然ながら、カロリー制限という方法が寿命延長にとって唯一の道ではない。より広範で複雑なネットワークが機能することによって、「健康な老い」が導かれるのだから。

それでも、そのネットワークをコンピューターにたとえれば、そのCPU(中央演算処理装置)、つまり最も重要と思われるのはTOR(ラパマイシン標的タンパク質)なのである。

それゆえ、そのTORの陰に存在するラパマイシンに光が当てられるのは、自然な成り行きなのである。

◎謎と偶然
「そもそも、老化を遅らせるようなメカニズムが、どうして進化してきたのか?」

これは進化生物学者たちの頭を悩ませてきた「謎」である。
生物の目的は「繁殖」にある。

その時期を過ぎてまで、生物に「時間外労働」をさせる意味はどこにあるのか?

じつは、カロリー制限による労働時間延長(寿命延長)は、別の目的の「おまけ」のようなものではなかったのか、そう考える加齢学者もいる。
たとえば、動物は食物が乏しくなると、いつもは食べないモノまで食べるようになるかもしれない。

すると、そうした食べ慣れない食物には「毒」が含まれる危険性が高まる。それゆえ、体内では自ずと「防御機能」が働くように進化し、「図らずも老化が抑えられる」というのである。

カロリー制限による魔法の効果は、「偶然の産物」だったのか?
◎ソンビ化
TOR(ラパマイシン標的タンパク質)は、成長と繁殖には不可欠であるものの、個体が成熟した後には「老化を推進するエンジン」になってしまう。

若さの本質ともいえる成長能力は、高齢期には「私たちを死に追い立てる」のである。
食物の豊かさはTORを助長してしまうため、「もったいない精神」はどこへやら、次から次へと食いカケを残していく。
余ったタンパク質は凝集し、不全となったミトコンドリアは溜まる一方。それらのゴミは、DNAを傷つけるフリーラジカルとも化してしまう。神経細胞に難分解性のタンパク質が蓄積すれば、それはアルツハイマー病などの疾患の一因となる。
高齢期におけるTORは、「組織の再生能力を徐々に奪っていく『ゾンビ』のような存在」なのである。
高齢になってなお、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)の勢いが衰えることがないのは、「進化は老化を遅らせるメカニズムなど作っていない」という主張につながる。
「ひねくれた成長」はいつまでも、それこそ死ぬまで続くのだ。
若い時には天使であったTORも、そのままソンビのような悪魔になってしまうのだから。

◎夢の抗老化薬
一方、「自食作用」という慎ましやかな生活を送ろうとするラパマイシン。
ラパマイシンが延ばす寿命は、マウスから推定すると、人間で平均5~10歳に相当する。
「これは大きい。実際、先進国では平均寿命が20世紀に大きく延びたため、現在はオリンピック選手の記録のように、少しずつしか延びなくなっている」
たとえば、アメリカ人の平均寿命は20世紀に50%以上延びたが、ここ10年間の延びはわずか2%にも及ばない。
しかし、この物質とて完璧ではない。
ラパマイシンを薬として用いると「血中コレステロールを上げたり、貧血を起こしたり、創傷の治癒を妨げるなどの副作用」が現れる事があります。
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ラパマイシンが見せた「不老長寿」への可能性。

 USD200
【寿命延長効果と抗がん作用を持つラパマイシン】


ラパマイシン(Rapamycin)という薬があります。シロリムス(Sirolimus)という別名で呼ばれることもあります。これは臓器移植の際の拒絶反応を防ぐために使用される薬ですが、このラパマイシンに寿命延長効果と抗がん作用が明らかになったことから、ラパマイシンの生体内のターゲット分子である哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mammalian target of rapamycin)、略してmTOR(エムトール)という蛋白質が注目されています。


ラパマイシンは1970年代にイースター島(モアイ像で有名な南太平洋の島)の土壌から発見されたStreptomyces hygroscopicsという放線菌の一種が産生する有機化合物です。イースター島はポリネシア語で「ラパ・ヌイ(Rapa Nui)」と言い、この「ラパ」と「菌類が合成する抗生物質」を意味する接尾語の「マイシン」とを組み合わせて「ラパマイシン」と名付けられています。


ラパマイシンの薬効としては、臓器移植の拒絶反応を防ぐ作用の他に、抗がん作用や寿命延長効果が知られています。寿命延長作用については、生後600日のマウス(人間では60歳ほどに相当)にラパマイシンを投与すると、通常に比べてメスは平均で13%、オスは9%長生きしたという動物実験の結果が報告されています。


寿命を延ばす方法として現時点で最も確実なのがカロリー制限です。カロリー制限とは、栄養障害(ビタミンやミネラルやタンパク質の不足)を起こさずに食事からの摂取カロリーを30~40%程度減らす食事を行うことで、カロリー制限には老化を遅延して寿命を延ばし、がんを含めて老化関連疾患の発症を抑制する効果が認められています。


このカロリー制限による老化過程の遅延と寿命延長とがん抑制に最も重要な因子がmTORです。ラパマイシン自体に抗がん作用が報告されていますが、ラパマイシンの構造を改変した物質(ラパマイシン誘導体)が抗がん剤として開発されて、すでに幾つかの薬が臨床で使用されています。


このようなラパマイシンの多彩な薬効は、細胞の増殖やエネルギー産生に重要な役割を担っている細胞内蛋白質に作用することによって発揮されますが、このラパマイシンがターゲットにする蛋白質がmTORという蛋白質なのです。。


【ラパマイシンはmTORC1を阻害する】


mTORはラパマイシンの標的分子として同定されたセリン・スレオニンキナーゼ(タンパク質のセリンやスレオニンをリン酸化する酵素)で、細胞の分裂や生存などの調節に中心的な役割を果たすと考えられています。 初め、酵母におけるラパマイシンの標的タンパク質が見出されてTOR(target of rapamycin)と命名され、後に哺乳類のホモログ(相同体)が見出されてmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)と命名されました。
mTORにはmTOR複合体1((mammalian target of rapamycin complex 1:mTORC1)とmTOR複合体2(mammalian target of rapamycin complex 2:mTOR2)の2種類があります。mTORに幾つかの他のタンパク質が結合して複合体を形成しますが、結合しているタンパク質の違いで2種類の複合体ができ、異なる機能を担っています。


mTORC1は成長因子や、糖やアミノ酸などを含む栄養素のセンサーとして機能し、mTORC2は細胞骨格やシグナル伝達の制御をしています。インスリンやインスリン様成長因子やロイシンによって活性化されるのはmTORC1の方です。ラパマイシンで阻害されるのもmTORC1の方です。


mTORC1は、糖やアミノ酸などの栄養素の状況、エネルギー状態、成長因子(増殖因子)などによる情報を統合し、エネルギー産生や細胞分裂や生存などを調節しています。 細胞の増殖というのは、栄養とエネルギーが利用できる状態にあるときに、新たな細胞構成成分(タンパク質、核酸、脂質など)を合成して、細胞の数を増やす生化学的プロセスのことです。したがって、増殖するためには、細胞を新たに作る材料(栄養素)とエネルギー(糖質や脂質を分解して得られるATP)が必要です。増殖因子や成長因子やホルモンなどによって細胞増殖の指令(シグナル)が来たときに、栄養素とエネルギーの供給が十分にあることを判断し、タンパク質や脂質の合成を促進して細胞増殖を実行するスイッチを入れるのがmTORC1です。


栄養摂取やインスリン、成長ホルモン、IGF-1、サイトカインなどの増殖刺激が細胞に作用すると、それらの受容体などを介してPI3キナーゼ(Phosphoinositide 3-kinase:PI3K)というリン酸化酵素が活性化され、これがAktというセリン・スレオニンリン酸化酵素をリン酸化して活性化します。活性化したAktは、細胞内のシグナル伝達に関与する様々な蛋白質の活性を調節することによって細胞の増殖や生存(死)の調節を行います。このAktのターゲットの一つがmTORC1というわけです。 Aktによってリン酸化(活性化)されたmTORC1は細胞分裂や細胞死や血管新生やエネルギー産生などに作用してがん細胞の増殖を促進します。


この経路をPI3K/Akt/mTORC1経路と言い、がん細胞や肉腫細胞の増殖を促進するメカニズムとして極めて重要であることが知られています。すなわち、PI3K/Akt/mTORC1経路の阻害はがん細胞や肉腫細胞の増殖を抑制し、細胞死(アポトーシス)を誘導することができるため、がん治療のターゲットとして注目されています。


PI3K/Akt/mTORC1経路の阻害は、抗がん剤や放射線治療の効き目を高める効果や、血管新生を阻害することによってがん細胞の増殖を抑制する効果も報告されています。
低酸素誘導因子-1(HIF-1)はmTORC1によって活性化されるため、ラパマイシンはHIF-1の活性を阻害することによってがん細胞の代謝異常(解糖系亢進)を正常化する作用があります。 mTOR阻害剤は免疫抑制という欠点を持ちますが、がん細胞や肉腫細胞の多くにおいてmTORが活性化されているため、抗がん剤として有効性が高く、すでに幾つかのmTOR阻害剤が開発され、抗がん剤として使用されています。(免疫に関しては単純な免疫抑制ではなく、記憶キラーT細胞の数を増やすなど抗腫瘍免疫にはプラスに働く面も報告されています。)


【mTOR阻害剤は老化性疾患の発生を遅らせ寿命を延長する】


マウスを使った実験では、mTORの活性を遺伝子改変や阻害剤(ラパマイシンなど)で抑制すると、老化関連疾患の発生が遅くなり、寿命が延びることが報告されています。例えば、遺伝子改変技術によってmTORタンパク質を生存に最低限必要な約25%しか生成できないマウスを作成したところ、寿命が正常マウスに比べて約20%延びることが報告されています。


また、mTOR阻害剤のラパマイシンがアルツハイマー病などの神経変性疾患を改善することが報告されています。知能機能低下をきたす遺伝性疾患では、mTOR活性が亢進しており、mTOR活性を低下させると知能が良くなることが多くの研究で明らかになっています。


がんも老化性疾患の代表と言えます。mTORの阻害剤ががんの発生を予防することは多くの研究で明らかになっています。 mTOR阻害は免疫細胞の働きを弱めるので、免疫力低下から感染症にかかりやすくなるデメリットがあるのですが、がん(悪性腫瘍)やアルツハイマー病や認知機能低下や心臓疾患や腎臓疾患などの老化性疾患に対して老化を抑制する方向で作用することが明らかになっています。 免疫系に対する作用の関しては、臓器移植の拒絶反応に使用されるように、一般的にはTリンパ球の働きを抑制するのですが、記憶CD8+T細胞を増やして抗腫瘍免疫にプラスに働く作用もあります。 mTORC1は膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の量を増やし、インスリン分泌を促進する作用があるので、mTORC1の阻害はインスリンの分泌を減少させて2型糖尿病の発症を促進する可能性が指摘されています。しかし、糖尿病の合併症の微小血管病変(糖尿病性の網膜症や腎症や神経症)や大動脈の動脈硬化に対しては、mTORC1は低酸素誘導因子-1を活性化し血管内皮増殖因子(VEGF)を増やして血管新生を促進するので、これらの血管病変を悪化させます。したがって、糖尿病の合併症の抑制にラパマイシンが有効という報告はあります。


老化が関連する様々な疾患のうち、認知機能低下、アルツハイマー病、悪性腫瘍、腎臓疾患、心臓疾患、自己免疫疾患など多くの疾患に対してラパマイシンなどのmTORC1阻害剤は改善する方向で作用しますが、免疫機能低下と2型糖尿病に関しては、改善と悪化の両方の作用を示すようです。 免疫機能においてエフェクターT細胞の増殖を抑えますが、記憶キラーT細胞の数を増やす作用があります。糖尿病においては、微小血管障害などの合併症を抑制する効果が指摘されています。


生まれてから生殖年齢に達するまで生き物は成長します。この成長過程において、成長ホルモン(HGH)やインスリン、インスリン様成長因子(IGF-1)、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達系、性ホルモン、その他様々な成長因子などが重要な役割を果たしますが、特にmTORが細胞の増殖や成長の中心的役割を果たしています。 成長が終了したあとは、成長に関わってきた多くの因子が老化を促進し、がんの発生を促進する方向で作用します。つまり、老化は成長の延長であり、過剰機能と言えます。

mTORC1は成長を促進しますが老化も促進します。したがって、成長が終了した段階でmTORC1を低下させるようにスイッチを切り替えるとその個体の寿命を延ばすことができます。「老化は成長の延長」という生物の根本的な仕組みを利用すれば、自然の摂理に逆らって寿命を延ばすことができます。つまり、mTORC1自体あるいはmTORC1の活性化に関わる要因を減らせば、老化性疾患の予防と寿命の延長を達成できます。


成長が終了し生殖年齢に達したあとはmTORの活性を高めるようなことはがんの発生を促進し、寿命を短くすることになります。 つまり、体重や筋肉を増やすようなスポーツは老化や発がんを促進する可能性が高いといえるかもしれません。牛乳タンパク質や糖質の多い食事も、mTORC1の活性を高めて老化で発がんを促進する可能性があります。アンチエイジング(抗加齢)の治療では、年齢とともに低下した成長ホルモン(HGH)や性ホルモン(テストステロン)やインスリン様成長因子-1(IGF-1)を補って若返りをはかる方法が行われていますが、確かに短期的には体は若返りますが、長期的な寿命とがん発生リスクの上昇ということを犠牲にしている可能性があります。


ですので、アンチエイジング治療と併用してラパマイシンを摂取する事で、長期的な寿命とがん発生リスクの上昇ということからも体を守る方法が推奨されます。


用法、および用量


通常成人には1日に2㎎を一日一回の経口投与とする。なお患者の容態にて適宜増減するが一日に4㎎を超えない事!!


アンチエイジング目的での摂取の場合は一日1㎎くらいを目安として摂取する事をお勧めします。

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